乳がんの告知を受けて
市のがん検診だったので、近くの指定病院で再検査までそのまま受けている。
駅前の古い総合病院で手術まで行えるようだが、先生は非常勤で、乳腺外科に特化しているわけでもない。
早期で発見してくれたし、家からも近いからこの病院で進めるか、と安易に考えていたが、色々と調べてうちにやはり設備も整ったそれなりに大きな病院のほうが安心なのではないかと思い始めた。
病院を移るべきか
「乳がん 手術 東京」
「病院 乳がんに特化」
「乳腺専門医 名医」
「・・・
まずはネットで調べた。
ヒットした先に治療法や保険診療のこと、その他聞いたことのないワードが次々に出てくる。
それを調べることでまた新たなことを知り、もともとなんとなく分かったつもりでいたこともきちんと頭に入ってくる。
やはり、病院を移ったほうがいいかもしれない。
CT、MRIを受ける前に移ったほうがよいのか、検査を終わらせ全てのデータを持って紹介状を書いてもらったほうがよいのか、病院に相談しに行った。
担当の先生は当直ではなく、婦人科の看護師さんが待合室まで出てきてくれてとても丁寧に相談に乗ってくれた。
「この時点で大きな病院に移ろうとすると、まず診察の予約、そこから残りの検査、どんどん日にちが後ろにズレていってしまうかも。」
一刻を争う症状でもなさそうで、急いで移っても通常の手順に沿われて遅れるだけ、事務的なデメリットなどもない、ということで検査後に移ることに決めた。
「病院は基本的に患者さんの指定になります。」
病院を決めなければならない。
乳房全摘出手術について
「早期ではあっても３つ散らばっているので、再発を考えると全摘になるかと。」
先生にそう言われ、だったら全部取ればいい。
なんて、告知された時は思ったが、本当にこの胸がなくなってしまうとどうなるのか。
― もちろん手術後は痛む？
― しばらく重いものは持てないらしいが、傷が治れば筋肉が固まらないよう動かしたほうがよいとか。
― リンパ節を切除した場合はリンパ浮腫の恐れ？
― ブラジャーにパットを入れるのか？
― 銭湯は周りの人に気を遣わせないようにしなければ。
お風呂でまじまじと左胸を見つめて揉んでみる。
もともとそんなに存在感のあるサイズではないが、
「一緒に生きてきたのにねー、なくなっちゃうのかー。」
と堪らない虚しさに襲われた後、
「いや、私自身がなくなってしまったら元も子もない。でも、何がもっと違う選択肢があるかも。流すな、諦めるな。」
という気が湧いてきた。
何がなんでも乳房を温存したいとは思わないが、残せるものなら残したい。
後悔しない最善の策を探す。
それで無理なら仕方がない。
乳房の同時再建手術とは
「2014年に人工乳房（インプラント）による乳房再建術が保険適用。」
そうなの？
しかも、乳房切除と再建手術を一緒に行う一次再建（同時再建）ってのがあるの？
全摘手術を終えてから再建する二次再建も可能だが、現在は同時に行うことのほうが理解も広がって増えてきているらしい。
エキスパンダーという骨組みみたいなものの後にインプラントを入れるとか、自分の組織の移植とか、いくつかの方法があるようだ。その選択は病院の得手不得手なのか、患者のコンディションなのかは今のところはよくわからない。
― 大胸筋が残っていないと入れられない？大胸筋取ることあるの？
― インプラント自体にリコールがあったことも？今は対応しにくいの？
不安材料もネット上でワンサカ出てくるが、こればかりは自分一人で考えていても答えは出ない。
最低限の勉強はしておいて、担当してくれる医師を信じるしかない。
病院を探す
名医？
いい病院？
ネット上で簡単に真実など得られないとは思うが、やはり、経験値が高い病院が良いと思ってしまう。
ソニー生命のサイトに、朝日新聞出版社 週刊朝日MOOK「手術数でわかる いい病院 2019」の乳がん手術の表が提供されていた。
１～４位まで関東圏。
・手術数の圧倒的トップが「がん研有明病院」
・温存率においてのトップは「聖路加国際病院」
・再建数が高いのはトップの「がん研有明病院」だが、同時再建率が高いのは「聖路加国際病院」と「聖マリアンナ医科大学病院」
・術前化学療法の率が高いのは「聖マリアンナ医科大学病院」
これらの差が何を示すのか。
方針の違いで自分に合う合わないが出てくるのか。
とにかく、同時再建までカバーし、尚且つ手術数が高い病院というのが限られているのはわかった。
病院を決める
７月初旬にCT、MRIの検査結果を聞きにいく。その内容によっては、考えなければならないことが増えるかもしれない。
それまでに病院の候補は挙げておく。
先生に聞けることは出来るだけ聞いて、紹介状を書いてもらうつもりだ。
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