治療があと5回となる日、「持ち帰られてお読みくださいね。」と受付から1枚の紙をいただく。
表に「乳がん放射線治療後2週間目の診察を終えられた方へ」
裏は「放射線治療を終了された方へ」
注意点を簡単にまとめておく。
「乳がん放射線治療後2週間目の診察を終えられた方へ」
皮膚のケアと保湿
皮膚の症状は徐々に回復していくが、完全には回復しないこともある。
照射範囲の皮膚は日焼けのように茶色くなり2~3年かけて色が薄くなる。
汗腺と皮脂線の回復は数年かかり、入浴後や運動後に赤く火照り、熱をもつことがある。
保湿剤によって潤いが回復し、皮膚の働きを助け健康な肌を取り戻す。1日1~2回入浴直後が効果的。周りの皮膚にも影響を与えているため、広範囲で塗ること。
入浴は、発赤やかゆみが落ち着くまで優しく洗い、入浴剤や温泉などは避ける。
脇の処理やケアは、照射後1ヶ月ごろから、状態をみながら徐々に行う。
運動
ジムや水泳は照射終了後2週間~1ヶ月から。
これから起こりうる症状
乳房の変化
硬さは1~2年で取れてくる。
照射終了後3~6ヶ月目に皮膚が厚くなり、むくんだり、張ったりすることがある。出現後、3~6ヶ月かけて落ち着く。
乳房痛
痛みは徐々に落ち着く。チクチク、ズキン、ビリッといった短時間の痛みは数年間続き、寒い日や身体をよく使った日に比較的多くなる。
放射線肺炎
照射終了後2ヶ月~1年の間に、100人に1人の割合で肺炎を起こすことがある。微熱やしつこい「からせき」が続く場合は放射線による肺炎の可能性がある。呼吸器内科に受診し胸部の単純撮影で確認。
肋骨骨折
照射終了後2~5年にごく稀に肋骨にひびが入ることがある。強い痛みがある場合は近医を受診。
今後の放射線治療
基本的に今回照射した部位にもう一度放射線治療を行うことはない。もし、他院で放射線治療を行う場合は必ず受けたことがあることを伝える。(胸部X線、マンモグラフィー、CTなどは問題なし)
放射線腫瘍科での定期健診
定期診察を行う。(間隔は個人差あり)
「放射線治療を終了された方へ」
照射に伴う症状の回復にかかる2~3週間ほどは照射期間と同様の生活で。
皮膚の変化とその対応
皮膚炎のピークは照射終了2、3日から1週間。無理にマーキングを消さず照射期間と同様のケア。
照射範囲にはテープ、絆創膏、湿布等の貼物をしない。(かぶれ、水ぶくれの原因)
プールや温泉、サウナは次回診察(終了2週間後)で回復を確認するまでは控える。
食事
特に制限なし。回復期間なのでバランスのよい食事を心がける。
アルコールも制限ないが、血液の循環がよくなって皮膚炎が強くなることがあるので飲み過ぎない。
運動
回復期間なので激しい運動は避け、次回診察で回復を確認するまでは控える。
体調管理
だるさはしばらく続くことがある。通院中の緊張感から解放され一気に疲れが出て体調を崩したり風邪を引くこともある。無理はせず、休息、睡眠をしっかりとって規則正しい生活を送る。
かゆみやヒリヒリがつらい場合、不安や心配なころがあれば、放射線腫瘍科に連絡。
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